不平文士の節酒日記~ADHD 死闘篇

アルコール使用障害とADHD に立ち向かいつつある技術系会社員のブログ

『杖と翼』(月刊flowers連載・完結)

木原敏江の、おそらく最後になるかも知れない長編歴史漫画です。ロベスピエール、サン・ジェストといったジャコバン派の面々が、どんな人間だったのかを想って描かれた作品です。「さようなら革命の志士たち」という作者のコメントが、身に沁みます。

萩尾望都『バルバラ異界』

「NHK大河ドラマ「新選組!」のキャスティングうまいなー。」という、モー様の一撃が!(93頁)渡辺多恵子様の心境、お察しいたします。 ところで『バルバラ異界』のカーラー博士は、アレルギー・カルチャーブレインのアンアンに後ろ暗さをつけ加えた感…

スチームボーイ

大友のパロディで売り出したトニーたけざきは、さすがにこの作品の本質をわかっていらっしゃるようで、「ヤングマガジン」とムックにそれぞれ佳作を載せていましたが、どうしたって本編には負けています。立ち読みしたムックでいちばん大受けしたのは、安彦…

『ひみつのやくそく』

『ひみつのやくそく』 古田足日・作 遠藤てるよ・絵 主人公のひでやは小学1年生。遠足で秋の山にやってきました。先生が、この山にはむかし「おに」が住んでいたと話すので、ひでやは怖くなってしまいました。途中でみつけた、「おに」がいそうな洞窟をのぞ…

今日の渡辺多恵子

マルコのプリズムシリーズ1『たて・よこ・ななめプリズム'80』(小学館、1983)より 「白い冬のページ」(初出・別コミ1979、11月号) わたしの狭い知見の中に限れば、もっとも忠実に萩尾望都に追従した世界を舞台にしたものでありながら、渡辺多恵子のどう…

今日の渡辺多恵子

マルコのプリズムシリーズ1『たて・よこ・ななめプリズム'80』より 「スカイウィークの未亡人」 『キャンディ・キャンディ』『ベルサイユのばら』が末期の代表的作品といえるでしょうが、かつて少女漫画は「憧れの欧米」世界を舞台にすることがたいへん多か…

今日の渡辺多恵子

『はじめちゃんが一番!』2〜3巻。ちゃんと買いましたよ!古本屋で。 亮君は良いねぇ。マルコが産みだした美少年の極みだね>うそ麻生裕ちゃんなんかはまるっきりの砂糖菓子なのでイマイチですが、亮の脆さと棘は瑞希でなくても「守ってあげたい」気持ちに…

今日の渡辺多恵子

マルコのプリズムシリーズ1『たて・よこ・ななめプリズム'80』より 「修くん大宣言!」 この単行本の中でいちばん古い作品。昭和54年、つまり1979年に発表されました。絵柄的には古さは否めませんが、デビューの三ヶ月後にしては絵柄が安定しています。今に…

今日の渡辺多恵子

『エースをねらえ!2』のビデオテープがなかなか出てこないので、代わりに(はなりませんが)しばらく渡辺多恵子の過去の悪行……じゃない作品を暴いて……いや鑑賞していこうと思います。 マルコのプリズムシリーズ1『たて・よこ・ななめプリズム'80』より 「…

『パピヨン』清水玲子 白泉社1994

清水玲子さんは渡辺多恵子以上に、短編と長編の色の違う人です。渡辺さんの長編は、実は連作短編なのだという身も蓋もない事実もあるのですが、元々問題意識の強い作家である清水が長編でそれを突き詰めていくと、どんどん深みにはまって袋小路のような部分…

『はじめちゃんが一番!』1巻 渡辺多恵子 小学館1989

昭和64年1月に連載開始なんですね。作品中に「ヤングサンデー」誌の創刊号らしき表紙がかかれているのを見て愕然としました。あの頃はわたしも(今より)乙女だったヨなぁ……愛読誌「少年ビックコミック」が突然お下劣路線に変わってしまい、強いショック…

今日の渡辺多恵子

『はじめちゃんが一番!』1巻(フラワーコミックス版)に収録されているわずか16頁(本文15頁)の掌編「ソウ子さんの憂鬱」は、つまらない作品ですが、渡辺作品のエッセンスが詰まっています(こんな短い作品に詰め込んでいるからつまらないのである)…

「ギンバエ」(2)完結 鈴木あつむ

面白かったのですが、え!もう終わり?と言いたくなるようなあっさりとした幕切れ。いくらでも続けられそうなシリーズなのに、人気なかったのかなぁ。でも単行本化しているのだから、支持はあるのだろう。警察や消防・自衛隊から守銭奴として忌み嫌われてい…

モンキーターン(「週刊少年サンデー」連載中)

きたきたキタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!激ニブ男のラブコメこそ河合克敏の本領でしょう。連載開始から7年半読み続けてきたのは、この瞬間のためだった!

「増補アル中地獄(クライシス)」 邦山照彦

1989年に出版された本書を、その数年後、たしか新宿駅側の古本屋で、半額で買い求めました。当時、まだ学生で実家に住んでいたわたしは、アルバイトや偶然手にした印税収入のほぼ全てを、安酒に注ぎ込む生活をしていました。アルコールの量で計れば、今の2…

「ギンバエ」(1) 鈴木あつむ

レスキューものが好きです。しかし日本のレスキューを描こうとすると、消防、警察、海上保安庁、自衛隊といった縦割りの軍隊型組織を描かねばならないわけで、リアリティを求めれば求めるほど活劇としての要素は失われていきます。この漫画は、金のために命…

時じくの香の木の実 山岸涼子 角川書店1987

山岸涼子を語るという行為は、大島弓子についてのそれ以上に難しそうな気がします。何故かと言えば、語る端からその言葉の陳腐さに舌噛んで死んでしまいたくなるだろうからです。なので上っ面だけ。この頃から、山岸さんの絵に対するこだわりがなくなり始め…

「夜を超える」 やまじえびね 祥伝社2003

表題作が松浦理英子原作と聞いて購入しました。彼女の原作というと、映画「ナチュラルウーマン」の悪夢が頭をよぎったりもするのですが、これはよい本でした。松浦世界では、男性はアホな生き物であることが普通な気がしますが、やまじ世界ではなかなかよか…

完全版−妖女伝説(2) 星野之宣 嶋中書店2003

連作短編だった(1)とは違って、短編を集めた作品集でした。当時の少女漫画の技法を使っているところもあって、ちょっと意外でしたが、楽しめました。特に、「歴史は夜つくられる」という話は、第一次大戦直前という時代、タイタニック号の船上を舞台にし…

「ST 黄の調査ファイル」 今野 敏

「ST」シリーズは講談社ノベルズのミステリーで、既刊は6冊。「ST 警視庁科学特捜班」が第1作です。仏教系新興宗教のグループ内で起きた、七輪を使った集団死。自殺か?殺人か??本庁とSTの見解は対立するが、所轄の刑事は事件性を認め、STと共に…

人形はこたつで推理する(2) 河内実加(原作・我孫子武丸)

1巻が出たのが96年らしい。99年に出た本書は、今のところ河内様の最新刊。しかし、ソニーマガジンズが漫画部門から撤退したために絶版のようである。普段ミステリーをあまり読まないので、新鮮で面白かったが、やっぱり河内様の本領はラブコメではない…

ハイヒールCOP(3) 大和和紀

大和和紀と言えば、やはり代表作は「はいからさんが通る」と「あさきゆめみし」でしょう。「NY小町」なんかも好きでした。この作品の出版は10年前ですから、お子さんが産まれるちょっと前あたりに描かれたものでしょうか。……えーと……暇つぶしに最適とい…

「火消し屋小町」逢坂みえ子(連載終了)

は「め組の大吾」(曽田正人)の対極に位置する作品として完結し、「大吾」の初期が好きだったわたしには、「小町」のラストがとても好ましく思えたのだった。戦前に死んだわたしの祖父は鳶で、火消しの親方で、神田川の橋が水害で流される度に掛直した男だ…

閑古鳥の巣 名香智子

名香智子の、肯定的で隠微さが微塵もないヘテロセクシュアルの描写は、とても爽快です。ダイニングルームとベッドルームに温度差が全くないのです。甘口でも辛口でもない、ニュートラルな愉しさ。お酒にたとえれば、運動したあとに飲む生ビールといったとこ…

YASHAオフィシャルガイドブック 吉田秋生

http://www.s-book.com/plsql/sbc_book?isbn=4091358535 この手の本(ムック)の文章というのは、ほとんどが編集プロダクションかフリーランスによって書かれます。そしてこの10年、労働単価の低下に伴うように、ライターの質も低下しているように見受けら…

フェミニズムセックスマシーン 砂

成人向け漫画。わたしはフェミニズムをかじっていた時期があり、「俺は、フェミニストのつもりで生きてきた男だぜ?」(byカイ・シデン)などと気取っていたこともあるので、この本は出版当時、ちょっと気になっていました。その時は購入しなかったのですが…

スピカ

世間では羽海野某という漫画家が評判だそうな。部屋を片づけていると、漫画誌「flowers」の一昨年の10月号に描いているのを発見、読んでみる。俺もいい加減時代錯誤な人間だと思うが、彼女のセンスにはついていけないぞ。「珠玉の少女まんが進化型」という…

今日の漫画

刑務所の前 花輪和一 この人の少しずれたユーモアセンスは最高ですね。これが異化効果という奴か? しかし年末に読む漫画じゃねーな、コレは。夢に出てきそう。

やってしまいました

「あ〜ん」を好きな漫画で埋める、という企画なのですけど、難しかったぁ。 好きな作家の本当に好きな作品を入れられないのは辛いですね。「あどりぶシネ倶楽部」とか「気分はもう戦争」とか「正しい恋愛のススメ」とか「バナナブレッドのプディング」とか。…

今日の漫画

空蝉 名香智子 現代日本版「ポーの一族」。素晴らしい。 アドバンス・オブ・Z 〜ティターンズの旗のもとに 作画・みずきたつ+ストーリー・今野 敏 小説版とは違う切り口で、話は面白い。キャラクターの表情もなかなか魅力がある。作画のほうは……もう少し頑…