https://web.archive.org/web/20180620202231/http://d.hatena.ne.jp/o-tsuka/
日本における「トランスジェンダー」の蓄積についてなど
最近知った書き手なのだが、note で大量の批評を書いている「年間読書人」という人がいる。
大阪府警の警察官を60歳で早期リタイアした人だそうで、40年間、月20万円を蔵書に投資してきたという読書家・コレクターである(蔵書の処分をはじめたそうなので、後者については「あった」とするべきかも知れない)。40x12x20万円となると、1億円近くということになる。蔵書の処分に協力している古本屋さんの見積もりでは10万冊はあるだろうとのことで、古本を含め平均千円と考えれば計算的にも一致する。これだけでまず、たいへんなものである。
そして単なる濫読家ではなくテーマを持って読み込む勉強家であり、面白く共感できる文章も書いているのだが、プロとして活字になった文章は非常に少ないようだ。
まず、現在はそういうことにあまり興味がなさそうである(しかしかつてはミステリー・サークルの同人誌に寄稿し、批評の文学賞にも応募したことがあるようなので、これはいわゆる「酸っぱい葡萄」という防衛機制かも知れない)。
また、本人曰く「警察官になってしま」ったことにより、「口で負かす」「理屈で負かす」手法を身に着け、それを活かして?ネットで30年間「徹底的に、遠慮なく」闘ってきた結果ということもあるのかも知れない。
最も得意とするのがミステリーの分野のようなのだが、その分野で名を成してきた元の仲間や、かつてはファンとして愛読していた作家の笠井潔とも闘って訣別してきたようなのだ。
そしてこの人は
「笠井潔は、とても優秀な批評家なのだが、その彼が実力相応に評価されないのは、もっぱら彼の「信用できない人間性」と、その「押し付けがましい政治性」にある、と断じていいだろう。「評論家として優秀であれば、人間性なんてどうでもいい」という「娯楽としての批評消費」的な考え方もあろうが、「有能と不誠実」が結びついたものほど危険なものはないのだから、多くの賢明な人たちが笠井潔を敬遠するのは、決して故なきことではない」
https://note.com/nenkandokusyojin/n/necc07f23ea8e
と書いているのだが、これは最近の「年間読書人」氏にも当てはまることではないだろうか。
というのも、ここのところこの人物がロックオンしている「さえぼう」こと北村紗衣氏との闘いをめぐり、「トランスジェンダリズム」についての勉強や執筆を開始しておられるのだが、これがまったく体系的ではなく、過去の「トランスジェンダー」についての蓄積を踏まえていないものであるからだ。主に2019年の「お茶の水女子大学におけるトランスジェンダー学生受け入れ」表明移行の、いわゆる「TERF」による言説を主に参照しているようであり、それは「トランスジェンダリズム」という用語の使用からも明らかである。これは残念ながら党派性であり、政治性であると言わざるを得ない。
この人が笠井潔の「子分」と見做す2人の評論家、藤田直哉と杉田俊介にも言えることだが、トランスジェンダーや男性問題をめぐる過去の蓄積の軽視はどうにかならないものだろうか。本気で勉強・研究するなら先ずは渡辺恒夫、蔦森樹から読みはじめて欲しい。
「味の素」によるアンモニア製造革命
父親の働いていた会社のライバル企業であったため、また、「化学調味料」の代名詞でもあったため、味の素にはいい印象が無かったのですが、すげえや。 https://news.nissyoku.co.jp/news/kawasaki20210513063447235 細野秀雄東工大教授らと共に、長年にわたって業界を完全に支配した「ハーバー・ボッシュ法」を部分的に置換する、革命的な小~中規模アンモニア生産技術を実用化。 これは世界を変える発明ではないかと思います。
安彦さんは、「僕が、ガンダムをいちばんわかっているんだ…!」と誤解していることに気がついてしまった
先日「安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN 展」を観に行って、つくづく自分はTHE ORIGIN を途中から見誤って(というか見限って?)いたんだということに気が付き愕然としました。
安彦さんは自分が誰より「1st ガンダム」を理解していると思い込んでいますが、少なくとも富野監督にとってのガンダムをよく(いやまったく)わかっていない。その証拠に、キャラクターレベルで、富野さんの思い入れと安彦さんの思い入れは見事なまでに食い違っており、その結果、物語の構造自体が異なってしまっているのです。
富野監督にとってガンダムとはまずもってシャアの物語、キャスバル・ダイクンの貴種流離譚・復讐の物語であり、アムロは物語を駆動するための軸、ホワイトベースは何故か皆が(毎週)そこに群がってくる空虚な中心です。敵であるジオン軍、とくにギレン以外の面々に至っては、その場限りの狂言回し的な存在でしかない(ガルマやドズル、キシリアや女性キャラの描写に顕著)。そして富野にとってガンダムは「殺伐とした、冷たい世界」。誰もわかりあえることなどない。
安彦さんにとっては逆に、ガンダムはアムロの成長物語であり、ホワイトベースクルーの集団劇であり、ザビ家の全員を含むジオン軍の多くの面々もそれぞれの確固とした根拠を持って群像劇に参加している。それに対し、ジオン・ダイクンやシャア、セイラ、あるいはミライといった「王族・貴族」の方が、物語を駆動するために無理めの道化を演じさせられている。安彦にとってガンダムは「信じられるものがある、やさしい世界」。人はわかりあえる。
『機動戦士ガンダム』がその他の富野ガンダムや安彦の『THE ORIGIN』と異なって奇跡的なバランスを保っていたのは、このふたつの全く相反する価値観が同居し、それらが混ざり合い、どちらにも偏らずに描かれた結果なのだと、今は思えるのです。
『「百合映画」完全ガイド』アニメ映画編
31本のレビューのリストを作り29本についてコメントしたでげす。
「将来の終わり」さんが半分以上の18本を書いているので、他の書き手のところにだけ色を付けてみました。
この本、目次に作品名がなく、索引もついていないという、ガイドとしては欠陥商品だと思います。
そしてわたしはなぜ担当編集者みたいなことをしているのか(笑)。
外国映画は多すぎるのでパス。21世紀日本映画(59本)は気が向いたらやるかもです。
No. | タイトル | 製作年 | 筆者 |
自分の鑑賞歴 |
評の評価 |
メモ |
282 |
のび太の鉄人兵団 |
1986 | 将来 |
あり |
○ | 俄然2011年公開のリメイク版というのに興味が湧いた |
283 | 少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録 |
1999 | 将来 | あり | ○ | 思い入れをぎりぎり踏みとどまった感じだがガイドとしてはネタバレし過ぎでは? |
284 | それいけ! アンパンマン ロールとローラ うきぐも城のひみつ | 2002 | 鶴田 | △ | 文章としては面白いのですが…なんか愛がないような… | |
285 | マイマイ新子と千年の魔法 | 2009 | 将来 | ○ | 文のまとめ方がちょっとヘンだけど | |
286 | アナと雪の女王 | 2013 | 中村 | あり | ○ | 妥当な批評。左部レイアウト乱れあり |
287 |
劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] |
2013 |
将来 | ○ | これも敢えてみなくて良さそう… | |
288 | 思い出のマーニー | 2014 | 鶴田 | ○ | ちょっと興味を惹かれた | |
289 | たまこラブストーリー | 2014 | ふぢの | △ | わたしにはハイコンテクストすぎます | |
290 |
エルサのサプライズ |
2015 | 中村 | そのうちみたいので未読 | ||
291 | インサイド・ヘッド | 2015 | 中村 | △ | 中村さんは全般的にネタバレ批評が多い | |
292 | ガラスの花と壊す世界 | 2015 | 将来 | ○ | ダメ作品らしい | |
293 | ハーモニー | 2015 | 将来 | ○ | みなくて良いことがわかった! | |
294 | 花とアリス殺人事件 | 2015 | 高橋 | △ | 面白そうで興味は惹かれるのですが、この短文に映画ジャーゴンふたつが入っているのは辛い | |
295 |
The School Idol |
2015 | 中村 | △ | うーん、単なるあらすじのような気が? | |
296 | ポッピンQ | 2016 | 将来 | ○ | かなり辛辣な見解 | |
297 | 映画マイリトルポニー プリンセスの大冒険 | 2017 | 将来 | ○ | ウェルメイドっぽいですね | |
298 | あさがおと加瀬さん。 | 2018 | 将来 | ○ | これもみないかな | |
299 | ANEMONE / 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション | 2018 | 将来 | ○ | 前編があまりにアレだったので見損ねてしまった映画。観ておくべきだった | |
300 | インクレディブル・ファミリー | 2018 | 将来 | △ | 予備知識がない人には些か不親切 | |
301 | 劇場版 フリクリ オルタナ | 2018 | 将来 | ○ | ほぼ罵倒ですが | |
302 | シュガー・ラッシュ オンライン | 2018 | 中村 | ○ | これは面白そう! | |
303 | リズと青い鳥 | 2018 | 将来 | ○ | 最大級の絶賛 | |
304 | 若おかみは小学生! | 2018 | 将来 | ○ | 「大傑作」だそうなのでみます | |
305 | アナと雪の女王 2 | 2019 | 中村 | そのうちみたいので未読 | ||
306 |
–永遠と自動手記人形– |
2019 | 関根 | △ | 本書的には多くの字数を費やして熱く語られているが、特にみたくはならない | |
307 |
劇場版 響け! ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~ |
2019 | 中村 | △ | すごく良さげなんですがやっぱりネタバレし過ぎなんでは | |
308 | フラグタイム | 2019 | 将来 | ○ | 愛ゆえの苦言のようである | |
309 | BLACKFOX | 2019 | 将来 | △ | 100分で尺が足りないのかな | |
310 | 僕らの7日間戦争 | 2019 | 将来 | ○ | みたい | |
311 |
サンシャイン!! The School Idol Over the Rainbow |
2019 | 中村 | △ | 興味を引かれるフックがなかった。 | |
312 |
劇場版 |
2020 | 中村 | ○ | みてもいいかな、と思いました |