不平文士の節酒日記~ADHD 死闘篇

アルコール使用障害とADHD に立ち向かいつつある技術系会社員のブログ

「押井守ファミリーオールナイト」

わたしはガンダム原理主義者なので、よくアンチ宮崎とかアンチ押井なのではないかと誤解されるのですが、劇場作品はいちおう殆ど観てますし、好きな作品もたくさんあります。
しかし「押井ファミリー」の作品にまでは手を出していなかったので、池袋の新文芸座で観てきました。オールナイトは4年ぶりくらいかなぁ。
BLOOD THE LAST VAMPIRE』(監督:北久保弘之,2000)は初見、サスペンス・アクションで、単純に面白かった。ベトナム戦当時の横田基地周辺の風俗描写が楽しめました。映像が暗いトーンで統一されており、音響も気合が入っているので、非常に劇場向きの作品だと思います。
GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊<インターナショナル・ヴァージョン>』(監督:押井守,1997)は英語字幕かと思っていたら、英語吹き替え日本語字幕でした。素子もバトーもトグサも荒巻も声がぴったりで、アメリカ側スタッフの愛情を感じました。「少佐」が「メイジャー」と呼ばれているのを見るのは、なかなか面白かったですよ。日本語版はビデオで一回見たことがあります(公開時劇場に行ったのですが、既に打ち切られてました)が、描き込まれた背景などやはり大画面の魅力がありますね。
人狼 JIN-ROH』(監督:沖浦啓之,2000 ただし完成したのは1998末)も初見。『赤い眼鏡』や『ケルベロス 地獄の番犬(Stray Dog)』は観ましたし、漫画の『犬狼伝説』も読んでますが、この映画がいちばん出来がいいと思います。ただ、ヒロインの声が非常に平板で、特にラストシーンの劇的な台詞を聞くのがかなり苦痛でした。溝口肇の音楽はとても良かった。この作品は押井系作品の中では断トツに女性の支持が強いそうなのですが、これはヒロインの存在よりもホモソーシャルな描写に理由があるように思います。
機動警察パトレイバー2 the Movie』(監督:押井守,1993)はロードショーの時に観て以来。当時は、1作目に比べると面白いと思わなかったのですが、今回はとても楽しく観れました。
かつて観た時には、「主役は南雲と後藤」であると事前知識でわかっていたにも関わらず、若い、本来の主人公であった泉野明の視点に感情移入していたことに気づかされました。今回は自然に、後藤隊長や松井刑事の視点から観ることが出来、むかしはすっごくイヤだったラストシーンの、南雲の手の演技も、素直に納得しました。うーん……歳をとるのは素敵なことです、そうじゃないですか?
これら4作品に共通するのは、どれも航空機が印象的に描かれている点で、もっとも短く、そして地に足が着いていた『BLOOD』でも(飛行場を舞台にしていたという理由はありますが)離陸、あるいは駐機している戦闘機、輸送機、爆撃機がカットインされます。*1
機動警察パトレイバー2 the Movie』でF-15J 戦闘機の改良型が飛び回るシーンは、まるで宮崎駿作品のような快感もあり、ちょっと意外でした。

*1:半端なミリオタとしては、ウィリスジープでV1速度のC-130に追いつけるのかという疑問は残りましたが……