不平文士の節酒日記~ADHD 死闘篇

アルコール使用障害とADHD に立ち向かいつつある技術系会社員のブログ

『機動戦士Ζガンダム A New Translation III 星の鼓動は変』

結論から言うと富野監督にとって「愛」というのは肉欲であるということが改めてあきらかにされた作品でした。映像的にも性交のメタファーがあちこちに出てきます。シロッコもシャアもカミーユも、もちろんヤザンもエロス&タナトスに満ち満ちて無反省。
前二作と同じく、『機動戦士ガンダム』をまったく知らない方にはお勧めできませんし、『機動戦士Ζガンダム』を良く知っている人以外はストーリーを把握できないのではないかと思います。
前二作と同じく、スピードと情報量で飛ばしていきます。ためがまったく無いので真剣に見ていると疲れます。テーマパークのアトラクションだと思って気楽に見るのがおすすめです。
(この3部作、単体の映画として成立していたのは、ひいき目に見ても最初の『星を継ぐ者』だけのような気がします)。
今回はTV版の絵に新作画を載せたカットがいくつかあって、これはこれでなかなか面白かったです。
継ぎ接ぎ映画の技術も洗練されてきて、だいぶ気にならなくなってきました。CG作画の戦艦もラストシーン以外は不自然さを感じず。
チェックの脇が甘いのも前作と同じ。出港していないはずの戦艦が港外に居たりする。第2作以降まったく登場していないロザミア・バダムがラストシーンで唐突に現れたり、フォウがキリマンジャロ編のコスチュームを着ているのもいけませんね。
声優では、サラ・ザビアロフの声が池脇千鶴から島村香織という方に変更になっていました。池脇よりも違和感はありませんが、どうせ変えるならもともとの水谷優子じゃまずかったのかな。オーディションはしたのだろうか。セイラさんの声が井上遥のままだったのはうれしい。
宇宙世紀でもっともだめな艦長、ヘンケン・ベッケナー君のだめっぷりにはますます磨きがかかってます。情けない。いっぽう、かつてゼータでいちばん鬱陶しいキャラとしてぶっちぎりの不評を買っていたカツは、カミーユやアストナージとの絡みが良く、むしろカミーユより感情移入できたくらい。つーかカミーユ君はあれでいいんでしょうか。「自分が殺してしまったパイロットのことを考え」たりはしなさそうですね。フォウは死に損だったなぁ。
レコアさんの情動は良く描けてましたが、レコアは同じく裏切り者であるエマに批判される謂われはないはずで、彼女を糾弾して欲しかったところです。
観終わって一番印象に残ったのは、ヤザン・ゲーブル小隊のエロいホモソーシャルぶり、ヤザン戦艦沈めまくり!、ヤザンの華麗なる脱出!!といったところでしょうか。新訳ダブルゼータの主役はヤザンで決まりだ。
客観的な評価としてはまどぎわ通信さんの書いたものがおすすめです。
http://d.hatena.ne.jp/madogiwa2/20060304