不平文士の節酒日記~ADHD 死闘篇

アルコール使用障害とADHD に立ち向かいつつある技術系会社員のブログ

『シン・ゴジラ』感想

わたしは夏エヴァや『GAMERA1999』という「捏造」ドキュメントの監督として、庵野には強い悪意を持っています。念の為。
あと、ネタバレ全開です。

<全般>
・特撮は見事。ドラマは平板というよりも「無い」。仮想戦記とかシミュレーション主体のドキュメンタリーっぽい。

<登場人物>
・主人公がいきなり「巨大生物」と確信する伏線が不在。そのためかなり変な人に、他の政治家や官僚がまともな人に見える。
・首相と防衛相が押井キャラ。悪意あり。官房長官庵野の好みと見た。
・三人の有識者の典型的な書き方はダサかった(有名アニメ監督のパロディらしい)。
・ダメな人を集めたチームというが、個々人のダメ描写が全くない。強いて言えば、見た目だけちょっとダメ?
・日系三世?の外交官が最初から全然やり手に見えない。
・未来の官房長官が軽すぎ。

<軍事>
・対戦車ヘリ部隊は高価な誘導弾の前になぜロケット弾を使わないのか! 20ミリ、30ミリときたら次は70ミリだろ常識的に。
・戦車隊の無駄なかっこつけ機動(射撃の寸前に砲塔を一斉旋回させたり、意味もなく超信地旋回してみたり)はいったい何なのか。ダサい。
・MLRS(多連装ロケットランチャーシステム)の射程(30km)では富士演習場から川崎市まで届かないはずだが……(←最近は届く奴もあるらしい?)
・エンディングロール、海上保安庁や警察や他の役所とは別建ての特別扱いで「自衛隊協力」。なんだそりゃ。日本語としても「自衛隊協力」は意味不明。自衛隊は組織名であって映画の中の役割名ではない。

<演出その他>
・最初に出てくる怪獣が妙に可愛い。ギャップを狙っているんだろうけど、その他の造形と違和感あり。
・修羅場のオフィスや服装が新品そのもので全然臭くなさそう。
・根本的な疑問なんだけど、なんでゴジラで『トップをねらえ!』や『エヴァンゲリオン』のリメイクしてるの? 「宇宙戦艦ヤマト」世代のビューティフルドリームなの?

突っ込みどころも含めて全然退屈はしませんでしたので、時間とお金のある方はどうぞ。
交通費1,340円+1,800円の価値があったかどうかは疑問ですが、被災地を5年ぶりに訪れ、席数わずか100のスクリーンで地元の人とこの作品を共有したというところに、若干の意味を見出しています。