不平文士の節酒日記~ADHD 死闘篇

アルコール使用障害とADHD に立ち向かいつつある技術系会社員のブログ

『男たちの大和/YAMATO』

映画は観ないと文句は言えないと思ってますから、チケットショップで960円の前売り券を購入して観賞してきました。
というわけで、最初から文句をつける気満々で見てきたのですが、あにはからんや演技と演出に関してはほとんどケチをつけるところはありませんでした。特に仲代達矢がよい。ヒロインの蒼井優もよかったです。久石譲の音楽もでしゃばり過ぎずいい感じ。
むろん、構成としては無理もあるし、角川春樹社長の趣味丸出しな「明日香丸」のエピソードなど、泣くべきところであやうく笑いそうでしたが、普通の見方をして問題になるというほどではありません。
でも折角なんでディテールについてチクチクと。

  • 主砲発射の際には、保護されていない兵士が吹き飛ばされるくらいの爆風が発生するのですが、爆風自体の描写が過小でした。
    いちおう46サンチ砲は大和の象徴なんですが……
  • 精神論の大家たる長嶋家の惣領が、日本軍の精神論を批判するというのはあんまりではないか。
    やはりここでも笑いそうになった
  • お約束とはいえ、最後にみんなで敬礼するシーンはつけたしっぽくてイヤ
    (しかも海軍式の脇を締める敬礼じゃない)
  • ナガブチの主題歌超ウザ

そして最大の不満ですが。
泣かせる映画というのは余韻が大切だと思うのです。
しかしこの映画のテロップ、それもほとんどラストのところで、満州入植者数万の死に責任があるといわれている関東軍青年参謀の名前が出てきます。いったいどの面下げて名前を出しているのかと、下品極まりない行為ですが、思わず劇場で呪詛を吐いてしまいました。となりのお姉さんごめんなさい。
いろいろと書きましたけれど、『パールハーバー』(みてないけど)とか『ローレライ』(みてないけど)みたいな作品を受容している人は観るべきなのではないか。
大和の尋常ではない負けっぷり、やられっぷり。次々と襲ってくる米艦載機は、吸血蝙蝠のようです。子どもに見せたらトラウマになりそうだ。
というわけで、親米右翼のヒトは必ず見るように。