不平文士の節酒日記~ADHD 死闘篇

アルコール使用障害とADHD に立ち向かいつつある技術系会社員のブログ

女性政策における地方の先導

話は変わりますが、地方自治における女性政策は、先駆的自治体の経験を各自治体が追従することによって充実していきました。この媒介となった国の組織は、肝心の自治省(現・総務省)ではなく、文部省国立婦人教育会館(現・独立行政法人国立女性教育会館)です*1。わたしも、いぜん住んでいた自治体から宿泊研修に派遣されて、生涯学習におけるジェンダー教育の実践について発表を行ったことがあります。
中央官僚は基本的に地方官僚の能力を軽視していますので、地方から学ぼうという姿勢は希薄ですが、教育分野においては戦後改革による地方自治が継続しており、地方にも主導権があるのです。特に、国によって組織化されていない社会教育の部門でそれは顕著です。
そのため自治体における女性政策担当部門は、まず社会教育内の女性教育担当として組織されました。
一度構築された行政部門は、滅多なことでは動きを止めることがありません。
美濃部都政下で妄想とも言われた野心的な公害政策が、美濃部をもっとも憎んだであろう人物の下で実現されつつあるという事実は、行政機構の継続性が持つ力の大きさを如実に示しています。
行政の担当者は少なくとも2年は継続してその任に当たりますから、この間にかならず、地域女性団体の活動家と直接に対面して交流することになります。そのうちに、まともな大人同士なら、一定の信頼関係が醸成されます。
そうするとどうしたって、活動家の言い分に耳を傾け、一定は納得するということになるのです。こうして活動家の意見が政策に反映されるようになります。
この関係は、担当者が異動した後も続くことがあり、地域活動家と自治体とのつながりは深まっていくのです(これが腐敗すると癒着と呼ばれますが)。
こうしてつくられてきた経験や構想された政策を、厚生省とか労働省(現在、合併して厚生労働省)の中央官僚はおいしいとこ取りをしていくのですが、これはズルイとかそういう話ではなく、構造としてそうなっているのです。
もちろん、先駆的な自治体もあればまったく興味のないところもあるわけで、10年前にわたしが聞いた話では、東京都江戸川区の社会教育部門の人(あるいは区長だったか)などは「江戸川区には女性問題は存在しない」という金日成あたりが言いそうな台詞を吐き捨てたそうな。
というわけで、再び。
荒川区民は蜂起せよ!

*1:もちろん、労働組合やそのメディア、業界誌による媒介も、非常におおきなものがあります