不平文士の節酒日記~ADHD 死闘篇

アルコール使用障害とADHD に立ち向かいつつある技術系会社員のブログ

反日養成バスツアー

おそらく「はとバス」なのでしょうが、えらく酷いバスガイドが幅を効かせているそうです。
http://aquarian.cocolog-nifty.com/masaqua/2006/04/post_b81c.html#more
あまりに面白い(失礼)内容だったので、手抜きですが長文引用させていただきました。

 このバス会社は、個人の観光客を集め東京観光のバスツアーを行うことでよく知られている。外国人向けに、英語でガイドをするコースもある。さまざまなコースが用意されているが、もっとも標準的とも思えるものを選んだ。朝9時から午後5時半まで、たっぷり一日かかるコースである。人気があるらしく、当日は40人を超える参加者があって、ほぼ満席状態だった。八芳園でのお茶席、椿山荘での昼食、水上ボートで浅草へと、外国人観光客を喜ばせる内容であったが、ガイドがひどかった。まず、英語がひどい。おまけに話す内容がひどい。話すべきことを話さず、どうでもいいようなことばかりいう。それを何度も繰り返す。ときに中身のありそうなことを話したかと思うと、それは国粋主義的である。外国人客をまるで子どもであるかのようにあつかい、誰でもが分かっているか、一度言われれば分かるようなことを、こうせよと命令口調で繰り返した。

以下、抜粋。

ひどすぎる英語
 日本人が、英語をネイティブとする人々のように話すのはむずかしい。発音を間違えたり、イントネーションがおかしくても、それは仕方がない。しかし、いくら何でもこの人のレベルはひどすぎる。
<中略>
長年やっているから、べらべらとしゃべる。しかしどう聞いても英語に聞こえない。想像力を働かせて、聞き取る。それにすごくエネルギーを要し、疲れ果てる。おまけに、私たちのように付き添いをかねて乗っている日本人向けのつもりか、日本語をところどころで交える。英語と日本語がごちゃ交ぜになる。英語だけを聞きとろうとしている人をいっそう混乱させる。途中で話したオーストラリア人は、このコースは英語と聞いて参加したのだが、別の言語で話している、と怒っていた。

話は支離滅裂
 バカなことを繰り返しているかと思うと、脈絡のない話に飛んだりもするので、混乱が増す。たとえば、乗ってまもなく、イントロ的な話の途中に突然、帰りのホテル送りの話をしはじめ、有名ホテルの名を次々にあげたりする。いかにいいホテルからの客を集めているかを自慢しているようだ。安宿からの参加者への配慮などないし、だいたいそんなことを言い始めるタイミングでもなかった。これをまた繰り返す。もう最初からうんざりしてしまった。
<中略>
仕方なく私は、ガイドとは独立に、私としての説明をヒルダに小声で始めた。ガイドにはそれが気に入らないらしく、参加している日本人に向かって、個人的に説明をするのはやめてください、私が説明しますからと、日本語で、怖い顔をして注意した。軍国主義時代の虚勢を張っていた教師を思い出した。

ナンバーワン大好き
 東京をバスで動き回る。車窓に見える地域、建物をこまめに説明して当然だろう。それを彼はほとんどしない。
<中略>
そしてソニービルを指し、ナンバーワンだとわめき立てる。それを何度も繰り返す。せっかく三田の慶応大学を通りかかったときは、東京の街路樹の説明などという関係のないことをやっていて、見向きもしない。一万円札を取り出し、それに描かれている福沢諭吉が創立した大学であることと、コイズミさんの母校だぐらいいってやればいいのに。並木として、銀杏がナンバーワンだとか、ハナミズキがナンバーツーだとか、その間ずっとわめいていた。この人は、ナンバーワンが大好きな人らしく、この一日で、何度ナンバーワンを口にしたことだろう。

え?遊就館をぜひだと?
 靖国神社千鳥ヶ淵半蔵門、国会議事堂、霞ヶ関、日比谷と通った、この日のハイライトともいうべきルートでも、靖国神社の何であるかを全くいわずに、これは神道神社であると、鳥居の図を掲げ、トリイという発音をみんなに覚えさせようと、何度も繰り返す。あげくは、あの神社には遊就館という展示館があるからぜひごらんになるのをおすすめします、といった。皇居については、第百二十五代のエンペラーである現天皇アキヒトが住んでいるとのべ、天皇一家の写真を頭上高く掲げて見せた。第何代の天皇だ、などという言い方は、戦中に国民学校で「神武、綏靖、安寧、懿徳、孝昭、・・・」と暗唱させられたり、紀元二千何百年と年号を呼ばされていた頃以来、聞いたことのない言い方だ。ルート上の説明をなおざりにして、天皇家の写真をていねいに見せ、回覧までするのも異常だが、その見せ方も変だった。天皇、皇后、紀宮3人の写真を見せたあと、秋篠宮ご一家を見せ、紀宮の結婚を話題にし、最後にちょこっと皇太子一家の写真を見せた。外国人でよく知られているのは、雅子さん問題であるのに、それには触れずじまい。この間、国会議事堂、霞ヶ関、警視庁など大事な場所は素通りとなった。

歴史の説明がない
 歴史について、いっさい話さなかった。天皇が第何代かを言ったほかは。外国の首都を訪れ、誰しも関心のあるのは、その首都なり、その国の歴史だろう。皇居の堀端を通れば、徳川将軍の居城だったとか、明治維新以来それが皇居となったこととか、天皇を神とした時代があり、戦争があり、今は民主主義の時代になったことなどを当然話すべきだろう。また現在の日本の国勢なり、国情、人々の暮らしぶりなども話すといいだろう。何が今の日本にとっての問題か。やっとバブルを脱却しつつあるとか、グローバル化の波が押し寄せ、国論が分かれているとか、東京タワーから六本木ヒルズを眺めたときには、ホリエモンのことだとか、外国人が興味を持つ話題はいくらでもあるだろう。ところがこの人が語るのは、日本のどこそこの会社がナンバーワンだというようなことがほとんどだった。トヨタを自慢し、日本の自動車会社の名前をべらべらと羅列する。浅草に行くボート乗り場に向かうとき、浅草の解説をはじめたかと思ったら、観音さまの寺であることから、「観音」からキャノンは名前をもらったと話がずれ、そこから日本のカメラ会社の名前を自慢げに、ら、ら、ら、と十程度あげ、それで浅草の説明は終わり。庶民が御利益を求めてお参りしてきた歴史とか、同じ敷地にある神社のお祭りのことだとか、そこが古くから庶民が演劇やその他の娯楽を求めてきた場所であることなど、そういうことの説明はいっさいなし。

ぶちこわしの茶席
 八芳園のすばらしい庭園を歩き、茶室に至り、茶席に連なった。この庭園は、そもそも大久保彦左衛門の隠居所であり、大正期に経営者として著名な久原房之助の邸宅となっていたことなどを説明してほしかったが、なかった。そもそも茶席での説明もはずれていた。茶席で大事なのはquietであることだ、と事前にいっておきながら、茶席ではひとりしゃべりまくった。
<中略>
椿山荘へ行っても同じだった。そこが山県有朋の邸宅あとであり、彼が何者であるかの言及はなく、食事に関する諸注意だけをいうのだった。東京に残る日本庭園の多くは、大名屋敷の跡地が多いことなど、その機会に説明をするべきことはたくさんあった。そういう歴史の説明が、外国人の好奇心を刺激し、日本が伝統のある国であることの理解をどれほど深めたことだろう。

話すべきことを語らず、どうでもいいことばかり
 このガイド氏は、話すべき適切な内容を、持っていない。はじめて東京見物をする外国人が何を聞きたがっているか、そのことを理解する感覚も、こういう役割に必要な国際性もないようだ。
<中略>
乗客の何人かと知り合ったが、いずれも知的な人たちで、その人たちがこの日本人ガイドの説明をどう感じるか、途中から逃げ出したい気持ちになった
<中略>
途中で私も聞くに堪えなくなり、ちょっと抗議してみた。とたんに開き直り、頭の固い年寄りは、そんなことをいうが、・・とひどい言葉をこのガイド氏は口にした。客に向かって「頭の固い」とはなんだと、こちらも切れそうになったが、外国人の前で言い争うのは大人げないと、気持ちを抑えた。

バス会社は英語ツアーをチェックしているのか
 バスツアーの観光案内については、会社は、マニュアルなどで、ガイド嬢を訓練し、テストなどもして、一定の水準を保つよう管理していることと思う。それに対し、英語によるガイドについてはどうか。ある種専門職として、まかせっぱなしにしているのではないか。会社に、その部分のチェック機能がないのではないか。彼のガイドぶりを日本語で聞いてみたら、全くめちゃくちゃの落第ガイドということになるだろう。先に書いたが、外国人相手のバスガイドは、外国人による日本観光の、いわば最前線にいる。日本への観光振興は、折に触れて問題になっている。それを考えれば、ガイドの質はとても重要だ。彼ひとりが、外国人向けガイドではない。もっと良質のガイドさんもいるに違いない。しかし彼は、バス会社を代表する一日コースを任される、彼の口ぶりをまねれば、ナンバーワンのガイドとされているのかもしれない。控えめに計算してみよう。毎日20人、週に5回、年40週、15年やっているとすると、彼はこれまでに、6万人の外国人に、この調子で話してきたことになる。もしこの人たちが、間違った印象を日本に対して持ったり、日本人の知的レベルを軽蔑したり、反感を抱いたとすると、えらく国益を損ねているのではないか。

ハリウッド映画で日本人が酷く描かれる理由の一端がわかったような気がします。