不平文士の節酒日記~ADHD 死闘篇

アルコール使用障害とADHD に立ち向かいつつある技術系会社員のブログ

メンズリブの不可能、フェミニズムの困難

macskaさんからトラバがありました。
http://macska.org/article/257/trackback/
わたしの今日の書き込みにさっそく言及をいただいております。
その1

「すべてのフェミニスト集団が共有する課題」とは何か。それは、女性である以外には何の社会的抑圧も受けていない、「女性」という集団の中で究極のマジョリティの立場に立つ人にとっての関心事のことだ。民族差別や性指向差別や貧困が一番の問題だと感じている女性の関心事は「すべてのフェミニスト集団が共有する課題」ではないという理由でアジェンダから取り下げられ、すべての女性にとって共通の課題である「女性差別」の解消のためだけに「すべてのフェミニスト」が連帯すべきだ、という押し付けは日常的に起きていて、o-tsukaさんがそう主張しているわけではないとしても、「共通の問題」を中心的に掲げることは、どうしてもそういう風潮を助長してしまう。

主要な問題意識が別にある人は、その別の運動の中で女性運動をやったほうがよい、いやむしろやるべきだ、と思いますし、友人をみていても現実にそうしているような気がします。
で、そうしたフェミニストに対してまで「共通の課題である『女性差別』の解消のためだけに『すべてのフェミニスト』が連帯すべきだ」なんて言うフェミニストが居たら、それは端的に頭が悪い。
その頭の悪さを助長しているのではないか、とまで言われると返答に窮しますが。
その2

o-tsukaさんは、さらに「優先課題がどこにあるかは状況によって異なるが、究極目標が女性差別の撤廃である以上、それを邪魔するような行動があるとすればそれが利敵行為なのは間違いない。利敵行為は実によくない。」と書いている。そうした言い方のもとに、たとえばフェミニズム内部における人種差別や階級差別権威主義や暴力といった、さまざまな不公正に対する異議申し立てが、「究極目的である女性差別の撤廃の足を引っ張る利敵行為である」として否定され、沈黙させられてきた歴史をo-tsukaさんが知らないわけではないだろう。そうした行為をo-tsukaさんが肯定しているとまでは言わないけれども、意図的でなかったとしてもそれを助長しているのは間違いない。

macskaさんのようなキャリアのある活動家が間違いないとまで書くからには事態は深刻なんでしょうね。やだやだ。
和をもって尊しとなす(日本的)コンセンサス形成の欠陥は認識しており、発言のラストにもその点を自虐的に織り込んでおいたのですが、まぁそれは置いといて「前向きに」考えてみましょう。
わたしは以前メンズリブ運動を通じて「男だなんていう性別の要素だけで全面的に連帯するのは不可能だしナンセンス」と確信するに至りましたが、それ以前から、「女性」がマイノリティなのかどうか疑問に思っていました。
「女性」が社会的に様々な意味で劣位におかれているのは確かですが、女性の方が人口が多いし、生物としてもX染色体の数が倍ということでぐっと優れている。ある意味では上位でもあるではないか。
また、女性という集団の内部にはあきらかに大多数の男性よりも強者がおり、それが弱者男性のルサンチマンを招き、アンチフェミニズム的なメンズリブを生むというイヤ〜な流れも目前に見てきました。
社会的劣位ということでメンズリブよりもフェミニズムの方にはずっと残された課題と可能性が多いと考えられますが、どっちにしても、フェミニズムに人種差別や階級差別権威主義や暴力の解決を求めるのは間違いでしょう。
フェミニズム内部の人種差別や階級差別権威主義や暴力は追及され、解決されなければならない課題ですが、それは例えば左翼運動内部や企業内部における女性差別や人種差別や階級差別権威主義や暴力が追及され、解決されなければならないのと同様です。
これは組織人の常識であると同時に、極めて困難な事業であり、常設の組織無しには不可能であろうとも考えています。
大左翼運動内部にことごとく女性委員会があり、大企業にコンプライアンス委員会が存在することには、歴史と理由があるのです。
フェミニズム(というのがあれば、その)内部でも、「もの言い」への異議申し立てのレベルにとどまらず、人種委員会その他が組織されるべきでしょう。
こういう↑のがわたしの考える「前向き」です。