不平文士の節酒日記~ADHD 死闘篇

アルコール使用障害とADHD に立ち向かいつつある技術系会社員のブログ

『櫻の園』

ネットでの評判がよろしくなく、興行的にも非常に苦戦中ということで、あらかじめ不出来は覚悟して観に行きました。
あにはからんや、実に良い出来でした。
1990年公開の前作は、ぶっちゃけて書くと「中年おとめ男(中原俊監督)があらかじめ失われた時(女子高時代)を回顧する後ろ向きなファンタジー」という印象でした。過去形なのね。
批評家からはたいへん高く評価されましたが、まぁ当時の映画批評家というのはたいていヘンタイ中年男(貶してません)ですから、まったく不思議ではありません。
一方当時のわたしは現役の乙女で、かつ吉田秋生の原作が泣きたくなるほど大好きでしたから、かなり違和感があったのですけれど、今回の映画化からはまったくそういう印象は受けませんでした(単にわたしが年をとったからだという可能性もある)。
脚本が女性に変わったのも、良い影響があったかも知れません。
また前作では3人、今作では2人だけ、男性の登場人物がいるのですが、前作の3人中2人がどうでもいいキャラクターだったのに対し、今作の2人(若手の柳下大と、ベテランの大杉漣)はちょっと現実にはあり得ない位に「いい人」で、この映画の前向きな雰囲気にとても似合っていました。